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死より確実なものはなく、死期より不確実なことはない。
















この男が申し渡された前に死ななければ、否、
死のうとしなければ死は誠実に白い歯を見せる。
殊更に足音を立てて喚起を促し、忍び寄りもしないのだろう。
一言も言葉を発する素振りを見せずに、男は私を見ていた。
牢獄にいてもなお、豪奢に飾られた一室と整えられた身なりは
外となんら変わりない。
穏やかな表情は最期を悟っているからだろうか。
女性のように丁寧に巻かれた睫から覗く瞳には憧憬とそれ以上の憐れみ。
私はまるでこの場が立ち尽くす咎人達の檻ではなく、街はずれの
慎ましい教会の中で跪く牧師の前にいるような目眩を感じた。
人を殺したものが、神の下に逃げ込み改心し、
人に救いを説くと言う筋書きは何世紀も前のものだ。
逃げ込みもしないし、救いを説くこともない、
神の下ならば呪いこそすれ祈らない。
悪い行いをしたものこそ、その尊さがわかるなどという馬鹿げたことか。
そのものを救うことこそ、願っているものなのだと言うふざけた話か。
つまらぬ自尊心のために彼を貶め、陥れたこの男に。
















(救いを、許されるはずがない。)

















男は箱のなかに閉じ込められている。

















なにを不安がることがある。
なにが男に出来るというのだ。
なにも出来もしないし、不安を募らせる必要もないではないか。
























多数の人々が鎖につながれ、死刑を宣告されているさまを想像しよう。
眼前で絞め殺され、残った者は、自分たちも同じ運命をたどることを悟り、
悲しみと絶望の中で互いに顔を見合わせながら、
自分の晩がくるのを待っている。












生まれながらの死刑囚か。
私達はその光景を当然としながらも恐れている、
目を覆った手の指の隙間を空けて覗きながらも、だ。
あの男はこの審理を悟ることなく、信じている。
盲目的に男が追い求める神の下で。
看守以外の人物が来なくなって久しい隔てられた己が
檻に革靴のコンクリを叩く音は大きなものだった。
暦が外された壁はなんのためであるか告げることはない。
厚くただその沈黙を守っている。
諳んじられるまで読み返した思想書をテーブルに置き、視線を合わせると、
しかしてあの男だった。
訪れるに相応しくない地位と絢爛さに身をつつみながらも凡庸に足を向ける。
思い詰められた表情は何も悟られていない証し。
鋭く研ぎ澄まされ、加えられた力に歪む瞳には同情とそれ以上の困惑。
私はなぜか自分が罪人ではなく、神による救済と幸福を疑うことを知らない
敬虔な信徒の前に立つみすぼらしい町はずれの教会の神父に
なった気がしてならなかった。
人を裁くものが、神の下に逃げ込む、人を裁くことに怯えるが故に。
逃げ込んで、裁きを望み、神の下で安寧を覚えるも救われない。
悪い行いをしたものに、相応の罰を与える正当性か。
そのものを罰することへの、躊躇する良心の呵責か。
つまらない執着心で己を堕とし、堕落した男だ。















(救いを、望んでいるのだろうか。)















男は掌の上に閉じこもる。



















なにが駆り立てるのか。
なにを彼が叶えるというのだ。
なにも叶えることはなく、駆り立てるだけなのだ。




















彼は一人、笑う。























れむべき
(pitiful adj.) 
あなたを相手に遭遇戦を行ったと想像したあとの、
あなたの敵ないし敵対者の状態。















すべての人間は幸福になることを求めている。
これには例外がない。
そのための手段はいかに異なっていようとも、
彼らはみなこの目的に向かっている。
これはあらゆる人間の、自ら首をくくろうとする人々に至るまでの、
あらゆる行為の動機である。












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