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「ありがとう、牙琉。助かっちゃたよ。
感謝してる。いつも迷惑掛けるね。」
いつもは当然のように言わないか、茶化すように軽く述べるに留まる感謝の念。
それを珍しく男は愁傷に声に出す。
何度も騙されてきたというのに歓喜の渦に飲み込まれそうになる己がつくづく、
オメデタイものだと笑ってしまう。
もし何も知らずにいれば素直に応えてしまいそうになる言いようは、
ズルイとしか言いようがない。
「口先ではなんとでも言えるでしょう?」
伴うものなどないと言うのに。
受け入れていれば、幸せなのかもしれない。
言わぬが花とも言えるのだそういう意味では。
あぁ、笑う。
あの男は屈託なく。
「そうだよ。なんせタダだから。」
何故だが叩かれた憎まれ口に嬉しそうにぬけぬけと言う男に
私はいつも負けてばかりいる。
(そう言うことさえ、お見通しなのだ。)
口から生まれてきた男
(わたしも、そして、また)