赤ん坊
(babe or baby n.)
年齢も性別も身分もにわかには定めがたい、
不恰好な生き物で、それ自身は何の情緒も感情も
解しないくせに、他の人びとの心に激しい愛憎の念を呼び起こさない
ではおかない点がもっぱら注意を惹く。
赤ん坊で有名なのが昔からいくたりか出ている。
たとえば、幼いモーセがその一人だが、モーセに先立つ七百年前のエジプトの
祭司たちが*オシリスは、子供のころ、水に浮かぶ蓮の葉に託されたおかげで
命を失わずにすんだ、という愚にもつかない話を作り上げたのは、
疑いもなく、幼いモーセの葦にまつわる*冒険からヒントを得たにちがいない。
* 古代エジプトの主神の一人。
* 「出エジプト記」第二章最初の数節に言及。
CAST
青いピアニスト
赤い弁護士
小さな魔術師
「国と郷土を愛する心か。」
「教育基本法がどうかしたんですか、成歩堂。」
「平成18年12月15日第165回臨時国会にて成立、同年12月22日公布・施行か、
改正されてたんだ。」
「仮にも元弁護士が言っていい言葉じゃありませんよ。」
「うーん、実感がなくてさ。だから君の弟くんも飛び級が楽だったんだっけ?」
「義務教育の制限年度がなくなりましたからね。」
「当時は結構改正するか、改正しないかでもめたらしいよ。」
「そうですね、なんでも。最初あなたが言ったことが一番もめたんです。」
「でも実感ないけど。」
「・・・税金を納めていないからじゃないですか?」
「たまに、が抜けてるよ、牙琉先生。」
消費税が上がる方がもめてほしいと言う真摯なニット帽の男を願いを、
三大義務以前だ、と法廷一クールな弁護士ははねのけた。
愛国心
(patriotism n.)
自分の名声を明るく輝かしいものにしたい野心を持った者が、
たいまつを近づけると、じきに燃え出す可燃性の屑物。
CASAT
紺の弁護士
青いピアニスト
「ナルホドくん!!聞いてよ!」
「どうしたの、真宵ちゃん。まだお昼の時間帯じゃないよ。」
「えー、もうあたしのお腹時計は十二時半だよ。」
「三十分は、言い換えればつまりそれは。」
「『あたしをやぶきた屋に連れてってこと』かな。」
「うん、まだ十一時半だね。」
「そういえば≪君、時というものは、それぞれの人間によって、
それぞれの速さで走るものなのだよ。≫って言わない?」
「言うね・・・珍しく。」
「どうしたの?ナルホドくん。」
「いやあ、ね。『お気に召すまま』って知ってるかい?」
「じゃあ、いこ。」
「言葉じゃなくて、作品名なんだけど。」
「置いてくよ?」
「待った!!」
「屋台はまってくれないよ。まぁいいや。待ったげるよ、ナルホドくん。」
「(なんかシャクゼンとしないな)結局、どうしたんだよ、さっき。」
「あーあれね。この前、事務所のビラを電柱に貼ったの覚えてる?」
「聞いてないよ(一体何書いたんだ)。」
「それでさ、今日見に行ったら、コレだ・・・くらえ!!」
「顔に押し付けられると呼吸と、まず見えないよ。」
「ちゃんと持って見る!」
「『大日本帝国万歳!天皇陛下万歳!!日本の核・・・』・・・。」
「なんかわかんないんだけどさ。思いっきりあたしが一生懸命貼ったビラの上に
重ねてあったからひっぱがしちゃった。」
「なんかだよ。とりあえず、何故か日本の現状を冗談か本気か真剣に憂えていたりする
真摯な人達が貼ったんじゃないかな。さて、ラーメンでも食べに行こうか。」
「やっぱ、一仕事した後はみそラーメンだね。食べるぞぉ!」
「お手柔らかに頼むよ。(あとで貼りなおしとくか、恐いし)」
愛国者
(patriot n.)
部分の利害のほうが全体のそれよりも大事だと考えているらしい人。
政治に手もなくだまされるお人好し。
征服者のお先棒をかつぐ人。
CAST
青の弁護士
見習い霊媒師