「いつもさ、『よく振ってからお飲みください』ってあるのを忘れて飲んじゃうんだ!!
味はさして変わらないと思うよ。沈殿物とか損したとか思うけど。
ああ・・・・・・・・それであわててね、プルトップをあげてから無駄だとわかってるのに振る。
こぼれないように注意して振るくらいじゃ浮き上がって混ざっていかないともわかってる。
で、こぼすんだ。気をつけているんだけつけているんだけど、気が付いた気が付いたら
こぼれてる。」
でも今日はこぼれていない、彼の手に握られている行儀悪くも平ら気味になった
痛ましい緑のストローをながめつつ、こぼれていない茶褐色。
「今日はその度重なる失敗の螺旋から脱却すべく、はっと気が付いて。
そうだなぁたぶん5回くらい振ったよ。振る回数はきめてるんだ3回5回7回の
いずれかにきめてる。縁起がいいからだったっけ。3と7はなくていつも5しか
やったおぼえはないよ、ただそう思ってるだけなんだ。
漠然とした信念ってやつかな不安じゃなきゃいいか。今回はよくないか。
とにかく振ったんだ、よく気が付いた、よくやったと思ったよ。
説明書きを読むまではさ。ゼリーだったら振ると思うじゃないか。思ったってしかた
ないじゃないか、なのにあれはストローで飲む場合はふっちゃいけないんだって。
そのまま飲めだって。初めてみたヤツだしどこでもらい物だからどこでかったか
わからないし楽しみにしてたんだけどいきなり気持ちがしぼんだよ。
ストローでない場合は振ってもいいらしいけど、せっかくこうやって折り曲げられて
缶なのにいっしょに用意されているんだから、ストローで飲んだよ。
ドロドロしてた、ゆるかったよ。・・・・・・・・慣れないことはするもんじゃないな。」
低糖な珈琲と緩いゼラチン、三角のストロー
(失敗は成功を産み出さなかった、きっと1,29なのだ。)
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