一口、口に含むたびに深く潜められる、金髪でありながらなぜか黒い眉を
みながら自分のティーカップにゴールデンルールに則ったフルリーフの紅茶を注ぐ。
普通にペットボトルに口を付けながら意地とばかりに赤みがかった紅茶のような液体を
塩化する男を見ていると勿体無い太りはなみも女性のみではないな、と思いながらも
目の前の男がそもそも、らしくないからだとも考える。
一流の今日はイタリアのブランドもののスーツを着崩さずしっかりと着込み
日本人では珍しくループタイをリボンにしていて、こんなグレードの高い
紅茶を持っていながら煎れずに、時間があるくせしてペットボトル。
ペットボトルにしたってコップに移して飲む方が妙なのに、こんな格好に
とっても癪だけれどもミツルギとはまた違った線の細めなインテリ美形
だからそっちの方をしてくれ、とぼくがススメてしまうことは無理のないことだ。
やれやれ、なにが楽しいんだか。
こちらまで漂ってきた甘ったるい香りは紅茶の薫りもなければ、
ブルーベリーとも判別つけ難い。
それでいて何処か懐かしい匂いだ。
「なんだいそれ。こっちの紅茶まで薫りが掻き消えちゃいそうだよ。」
「ぽいですね。今どうやら私の鼻は利いてないみたいです。」
「君ね、だったらどうせ特売品なんだろ?捨てたら?
もうこれは公害レベルだぜ。」
「もしかして勿体無いだけで私がこれを飲んでいるんだと?」
「そうだよ。でなきゃ君は相当の物好きと見た。
まったく一体全体何でそんなものが飲めるかね。」
「唐突に人は義務感や使命感を感じる時があるんです。」
「神の啓示みたく?」
「神の啓示みたく。」
神妙に大仰に敬虔に頷いてみせるので奉げられるように
握られたペットボトルを掻っ攫い口を付ける。
うやうやしさなどあったら気持ちがわるいというものだろう。
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小さい頃、風邪にかかると病院で必ず出して貰っていた風邪薬。
それもオレンジ色の粉薬の味。
食べ物というか飲み物の味じゃない。
粉末の粒子が上手く飲み込めないと美味しくない甘さが
残って風邪になる度にトローチは嬉しいけれど
親に内緒で捨てようとした覚えもある、そんな味。
「君さ、まえまえから思ってたけど心ある大人として言わなかったけど
ひょっとしなくともどうもしなくてもどうしようもなくほんっとにかわいそうなことに
―――――バカだろ。」
いいかい?
これは確認文だからね!!
ブルーブルーブルーベリティー q.o.[クオリティ・オブ]59yen
( 生活の向上を求めないものはバカか?)