悪魔の辞典
アメリカのジャーナリスト、アンブローズ・ビアス氏の
『悪魔の辞典』(岩波文庫版)を題材に
見出し語を御題にして糖度低めのSSを書き綴る
企画です。
CAST 表記一覧
(原作登場順)
*まだ登場していない人物も記載
数式は[と]がコンビ程度
[に]がカプ
1
青い弁護士
成歩堂龍一
スカーフの弁護士
綾里千尋
見習い霊媒師
綾里真宵
赤い検事
御剣怜侍
テンガロンの検事
罪門直斗
2
たまごの霊媒師
綾里春美
3
緑の検事
ゴドー
赤の弁護士
神乃木荘龍
日傘の君
美柳ちなみ
日陰の君
葉桜院あやめ
4
青いピアニスト
成歩堂龍一
赤い弁護士
王泥喜法介
小さな魔術師
成歩堂みぬき
紺の弁護士
牙琉霧人
紫の検事
牙琉響也
白衣の刑事
宝月茜
異表記
博士
成歩堂龍一(4)
助手
成歩堂みぬき
マスコット
王泥喜法介
死を待つだけと言うのなら、確かにここは家だろう。
彼の為にしつらえられた、この部屋はまるで
最上階《スウィートルーム》。
部屋の幅一杯の特注のサイズに造られた
木目が美しいマカボニーの本棚には
名匠の手によるバイオリンとアンティークの
ティーセット。
曲線美の豊かな背もたれがゆったりとした
椅子は紫に染められた柔らかな羽毛が
覆い、その上に載せられた小さなクッションは
シンプルに白、ではなく豪奢な金の刺繍。
錦の橙。
実用には程遠い小さい丸机は凝った細工も
掛けられるカバーもなく質素なものだが
その桁は推して知るべし。
穏やかな色合いのチェストには、
細身の花瓶に赤い薔薇が二輪。
この部屋には背の届かぬ鉄格子越しに
差し込む光さえ、雰囲気を阻害せず
引き立てる。
また壁はコンクリートではなくレンガを重ねた模様と
なっているので、まるで洒落た書斎だ。
これで
『牙琉 霧人は今、《作業》に参加しています。』
とはまったくおかしくて仕方ない。
「まぁ、ぼくのせいなんだけどね。」
13号と言う数字に相応しい、階段を昇るその日まで。
きみはまどろめるのだろうか。
「じゃあね。」
きみの、死を待つ人の家《カリーガード》は冷え冷えと
その時を見守ってくれるよ。
牙琉。
家 (house n,)
人間、イエネズミ、ハツカネズミ、油虫、
ゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、バチルス、細菌を
住まわせるために作られた、中が虚ろな建物。
CAST
青いピアニスト